【遺産分割】相続した土地を売って分配する換価分割|登戸の司法書士が解説
相続財産の分割方法には大きく3種類あります。
こちらでは、その中でも相続財産を売却し、現金化した上で相続する換価分割について解説していきます。
こちらでは、次の3つの内容に沿って解説していきます。
- 換価分割とは?長所と短所を解説!
- 換価分割の手続方法
- 換価分割と税金
換価分割とは?長所と短所を解説!
換価分割とは、相続した不動産や株式を売却し、売却後に現金を相続人で分ける方法です。
換価分割の長所
換価分割の長所は次の2つです。
- 平等に相続できること
- 相続税を支払う現金を確保できること
換価分割は平等な相続を実現できる!
換価分割は、平等に相続財産をわけることができます。
例えば、相続財産のほとんどが不動産のときは、全員が平等な割合で相続することは難しいです。不動産を取得する人が、どうしても財産を多く相続してしまうからです。
しかし、換価分割をすれば、現金化して相続する割合を決めることができます。よって、平等な割合で相続をすることができるのです。
相続税を支払う現金を確保できる!
相続財産のほとんどが不動産のときに、相続税が発生すると、相続税の負担が大きいです。
納税するための資金を確保できない危険があるのです。
しかし、換価分割を行うことで、現金を手元に確保できるため、納税できないといったことを避けることができます。
換価分割の短所
換価分割の短所は、次の4つです。
- 不動産を売却するのに時間と費用がかかる
- 売却するときには、不動産会社への手数料がかかる
- 希望する値段で売却できない可能性がある
- 売却に税金が発生する
「希望する金額で売却できない可能性」とは?
換価分割が、相続税の支払いのための手続であるときは、希望する金額で売れない可能性があります。
これは相続税の申告は10ヶ月以内に行う必要があるからです。
相続税の納税までに希望した金額で買い手が見つからないときは、売出価格を下げる必要が出てくるのです。
換価分割の相続手続
売却前に不動産の名義を相続人に移す必要がある
換価分割により不動産を売る前に、不動産の名義を相続人に変える必要があります。
なぜなら、不動産を売却するには売る人の名義にする必要があるからです。
亡くなった人の名義では売却できないので、あらかじめ相続登記を行い、名義を変更する必要があるのです。
売却前提の相続でも、遺産分割協議書は必要?
結論から言うと、現金化した遺産をどのように分けるかによって、遺産分割協議書が必要かどうか異なります。
現金化した後に法定相続分どおりに分ける
売却後の現金を法定相続分にしたがって分け合うときは、遺産分割協議書は不要となります。
現金化した後に法定相続分とは異なる割合で分ける
売却後の現金を、法定相続分とは異なる割合で分割するときは、遺産分割協議書が必要です。
遺産分割協議書を準備した上で、相続登記をする必要があります。
換価分割と税金
換価分割は、不動産を売却します。よって、不動産の売却により発生する税金が発生するのです。
不動産の売却により発生する税金は、次の3つです。
- 印紙税 →相続した土地や家を売るときの印紙税
- 住民税 →相続した土地や建物を売るときの住民税
- 譲渡所得税→相続した土地や建物を売るときの譲渡所得税
それぞれについて計算方法はリンク先で解説しております。
まとめ
今回の内容をまとめると次のとおりです。
換価分割の長所 | ① 平等に相続できること ② 相続税を支払う現金を確保できること |
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換価分割の短所 | ① 不動産を売却するのに時間と費用がかかる ② 売却するときには、不動産会社への手数料がかかる ③ 希望する値段で売却できない可能性がある ④ 売却に税金が発生する |
換価分割に遺産分割が不要な場合 | 売却後の現金を法定相続分で相続する場合 |
換価分割に遺産分割が必要な場合 | 売却後の現金を法定相続分と異なる割合で相続する場合 |
換価分割により発生する税金 | ① 印紙税 ② 住民税 ③ 譲渡所得税 |
換価分割は、分割が困難な財産を平等に相続ができるという利点があります。
しかし、税金が課税されることや手続が複雑であるなどの短所もあります。
そのため、換価分割の手続を滞りなく完了させるためにも、専門家に相談することをおすすめします。