遺言書における付言事項の意味と具体例|相続対策を登戸の司法書士が解説
今回は、遺言書の中でも付言事項について解説していきます。
付言事項は遺言書に色をつけるものです。
「不動産は配偶者、預貯金は相続人で均等に」という財産の承継先を定めた遺言書に、気持ちや感謝などを加えるものになっています。
付言事項とは
遺言書を作成する場合、遺言書に記載する内容は大きく2種類に分かれます。
それは、遺言事項と付言事項です。
遺言事項と付言事項
遺言事項
遺言事項は、「財産を~に相続させる」などの法律的な効果を出すものです。
遺言事項は法律の効果があるため、法律で決められた厳格な方式が求められます。
よって、遺言事項については法律に則った文章で記載する必要があります。
付言事項
付言事項は、法律的な効果はありません。そのため、法律による制限も限られています。
公序良俗に反する内容のものは無効ですが、それ以外の内容については特に制限はありません。
そのため、ご自身で遺言書を作成する自筆証書遺言でも、付言事項については直筆で作成する必要はありません。
付言事項の内容
付言事項は遺言者の気持ちを伝えるものです。そのため、付言事項の具体例としては、感謝の気持ちを伝えるものなどがありますが、それ以外にも遺留分の対策として使えることもあります。
付言事項の具体例
ここでは付言事項の記載に制限はない、とは言っても具体的にどのように記載すれば良いかわからない方のためにいくつかの例を用意しました。
相続人などへ感謝を記載するもの
「妻○○、○○(長男)、○○(二男)これまでお世話になりました。本当にありがとう。特に妻の○○には本当にお世話になりました。私が亡くなった後も、家族のみんなが仲良く幸せであることを願っています。」
遺言の趣旨を説明するもの
「○○(障害を抱えた子)の今後のことを考えて財産を残しました。また、△△(面倒を看る親族)には、今後○○の面倒をお願いすることになるため、少ないですがお礼の意味もこめて財産を渡すことにしました。○○のこと、何卒宜しくお願い致します。」
遺留分権利者に対して遺留分を行使しないように依頼するもの
「二男○○には、財産を残していません。これまで、○○が行方不明になってから、督促状や電話が鳴り止まず、こちらから連絡しても、折り返しもありませんでした。そのため、取立屋の対応などで多大な迷惑を被りました。○○は、今後、長女の△△に迷惑をかけないために遺留分侵害額請求などはしないようお願い致します。」
まとめ
今回は、付言事項について説明しました。付言事項に法的な効果はありませんが、遺言書にご自身の気持ちを加えることで温かみのあるものにすることができます。
また、相手の心情に訴えかけることで、遺留分の対策としても使うことができます。
遺言書を作成するときは、付言事項を加えることをおすすめします。