相続対策として不動産の購入は有効?

不動産購入は相続対策として有効?

相続対策も何に備えるかで方法も異なります。相続対策には大きく3つの種類に分かれます。相続人間の争いの対策としての「争族対策」、相続税を少しでも減らすための「相続税対策」、相続税の納税に備えるための「納税対策」です。今回は不動産購入を相続対策として行った場合にどのようなメリットがあり、またどのようなデメリットがあるのかについて解説していきます。

不動産購入のメリットは?

相続が発生した場合、遺産分割の前提と相続税を算出する前提で遺産の算定をする必要があります。この遺産の算定では、現金や預貯金は計上が簡単です。しかし、不動産の評価方法はどのようになるのでしょうか?

不動産の評価方法には種類があります。

不動産の評価方法にはいくつか種類があります。固定資産税などの税金を支払う場合は、固定資産税評価額で計上しますが、不動産を売買する場合は、実際の取引価額によることになります。その他の評価方法としては路線価による評価方法と公示時価による評価方法があります。基本的に一番高額に評価されるのは、実際の取引価格(実勢価格)で、その次から公示時価、路線価、固定資産税評価額という順番で金額が下がってきます。

相続税の評価方法

相続による不動産の評価方法は、主に建物は固定資産税評価額により、土地は路線価による評価になります。これは、もし5,000万円で不動産を購入した場合でも、これは実勢価格です。相続では実勢価格より引く固定資産税評価額と路線価により不動産を評価することになるため、預貯金現金をそのまま相続するよりは節税対策になるといえるでしょう。

不動産購入のデメリット

争族対策ではどうなのでしょうか。

現金預貯金を不動産に変えることで、遺産分割を困難にする可能性があります。現金預貯金は分割は容易ですが、不動産の分割はいくつかの問題があります。

相続財産に預貯金がほとんどなく不動産しかない場合は、相続財産をどのように相続するか争いになりやすいです。先程も説明したとおり不動産には様々な評価方法があります。預貯金があまりなく不動産が相続財産のほとんどを占める場合、どのように不動産を評価し、どのように分割するかの問題を相続人へ残すことになります。

また、預貯金があまりない場合、法定相続分に応じて均等にすることは非常に困難です。現金預貯金が残っている場合には、複数の不動産をそれぞれの相続人が相続したときに相続分が少なくなってしまった部分を現金で調整することが可能となります。

全部を共有にすれば良いのでは?

共有名義は問題の先送りになります。

例えば、兄弟姉妹が親の相続により不動産を共有名義で取得することになった場合、兄弟姉妹で共有しているときには問題は生じないかもしれません。しかし、兄弟姉妹のその次の世代では、いとこ同士で共有することになります。その後、共有者の一人が売却を希望した場合でも、他の共有者の同意が無ければ売却は困難です。また、売れたとしても、とても安い価格になってしまいます。また、売却をするときに共有者の一人が重度の認知症などの場合には売却ができなくなる可能性もあります。

まとめ

相続対策として、不動産を購入することは節税対策としては、とても有用です。しかし、不動産購入により、現金預貯金が少なくなり、相続人に争いの種を残すことになる可能性もあります。また、不動産の購入により相続税の納税資金を確保できなくなる可能性もあります。不動産を購入する場合でも、ご自身が持っている資産額とご家族の関係などを総合的に考慮した上で不動産を購入することをおすすめ致します。

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