障害を抱えた子のための信託を用いた相続対策

親亡き後支援信託

状況

今回、ご相談頂いたAさん(80歳)は、自身が亡くなった後の奥さんと娘の面倒を誰が見るのか不安を感じていました。Aさんの奥さんであるBさん(76歳)は施設で寝たきりになっており、娘のCさん(51歳)は障害を抱えており施設に入所しています。Aさんの資産は賃貸に出している収益不動産と預貯金3000万円ほど、そして株式が上場株式で2000万円ほどありました。

Aさんの頼れる親族としては、近くに住む甥のXさんがいました。Xさんは医療関係に従事しているため、Aさんや奥さんのBさんが体調を崩した際にはよくXさんに相談していました。Aさんは、色々とお世話になっているXさんに感謝しており、遺言で自分が亡くなった後に財産を渡したいと考えていましたが、自身の奥さんやCさんが亡くなるまでの財産を残すことを考えると簡単に決断できないようでした。

親族関係

リーフ司法書士事務所の対応と提案

今回放置した場合どのようになるのでしょうか?

Aさんが亡くなった場合、Aさんの財産は相続財産となり、相続人へ帰属します。しかし、相続人であるBさんとCさんは意思能力を有していません。そのため、相続手続を行う際には、BさんとCさんについて成年後見人を就ける必要があります。成年後見人をつけた場合、当然、Bさんの後見人とCさんの後見人へ支払う報酬などのランニングコストが発生します。そして、BさんとCさんが亡くなった後に、Aさんから相続された財産は国庫に帰属することになります。

 

リーフ司法書士事務所からのご提案

家族信託契約の提案

Aさんの財産を一般社団法人を設立し、一般社団法人に信託することをご提案しました。受託者である一般社団法人の理事にはXさんが就任することになります。受益者はAさんと奥さんであるBさんそして、Cさんです。信託の目的は、信託された財産をAさんとBさんCさんの現在の生活水準を維持するために、受託者が使うというものです。基本的には、Aさん、Bさん、Cさんが亡くなることで信託が終了し、法人も解散することになります。信託終了時の信託財産の帰属権利者は、Xさんの法定相続人としました。

受益者のCさんがまだ50歳であることから、信託契約が長期に及ぶため、受託者としてXさんが個人で行うのではなく、信託法人を設立することを提案しました。

上場株式の信託

上場株式を信託する場合、家族信託に対応している証券会社でないと口座開設ができません。また、受託者が上場株式を取引した際に、どこまで責任を負うのか、明らかではありません。例えば、株価が急落しているにも関わらず、受託者が信託された株を売却しなかった場合、これは受託者の責任となるのか、また責任を負うとしたらどこまで責任を負うのか、など不確定要素が多いです。

今回の事例では、Aさんの資産の一部に株(証券)が2000万円ほどありました。すべて上場株式でした。受託者法人の運営をすることになるXさんには、株取引の経験もないことから、現金に換価の上、信託することになりました。

受益者代理人の設置

Aさんと一般社団法人(代表理事:B)との間で家族信託契約を締結後、Aさんが重度の認知症や亡くなった場合、一般社団法人を監督する機能が失われてしまいます。そのため、Aさんが亡くなった時や重度の認知症になった場合には、司法書士や税理士などの専門家が受益者代理人となることを提案しました。

遺言書作成の提案

Aさんが亡くなった場合、信託されてない財産は、相続財産となります。寝たきりのBさんや障害を抱えたCさんが行う場合、後見人をつける必要が出てくるため、遺言書を作成することを提案しました。遺言の内容としては、Aさんの相続財産を信託財産として追加信託するというものです。

提案後のお客様の対応

提案を聞いたAさんは、信託された財産は自分の財産ではなくなることに少し不安を感じていました。しかし、受託者である法人がAさんの財産をどのように使ったのか報告する義務を法人は負っていること、Aさんに何かがあれば専門家がしっかりと監督することをお伝えし安心してました。

家族信託をする場合には収支状況の確認が必要

今回、家族信託と受託者として一般社団法人の設立をご提案する前に、Aさんだけでなく、Bさん、Cさんの収支状況などをしっかりと確認しました。これにより、Aさんの資産が信託のランニングコストに耐えられるのかどうかを計算し、ご提案に至りました。家族信託を行う場合、収支状況や財産状況をしっかりと確認する必要があります。家族信託をご検討中の方は、家族信託の知識のある専門家にご相談することをおすすめ致します。

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