【相続手続の解決事例】相続人が行方不明|登戸の司法書士が解決事例を紹介
相続手続では、原則として、相続人全員で遺産分割協議を行う必要があります。
そのため、相続人の一人でも話し合いに参加してもらえない場合、円滑に相続できなくなります。
今回は、相続人が行方不明で、相続手続ができなかったときの解決事例についてご紹介します。
依頼者の状況
依頼者のAさんは、奥様が亡くなられたことで、相談に来ました。
依頼者の相続関係図
相続人は、Aさんを含めた長男と二男の3人です。
亡くなられた人の財産の状況
亡くなられた奥様の財産としては、次の不動産と預貯金だけでした。
Aさん(依頼者)の希望
Aさんの今後の希望としては、自宅を売却し、売却代金で施設などで暮らしたいということでした。
相続手続をする上での問題点
相続の問題を解決する上で、問題になる点は次の3つです。
- 相続人が行方不明
- 相続財産のほとんどが不動産
- 依頼者は、施設入所を希望
それぞれについて確認していきます。
問題点①:相続人が行方不明
相続人の長男は、行方不明でした。
遺産分割協議は相続人全員で行う必要があります。そのため、相続手続を行うには次の2つの方法から選択する必要があります。
- 相続人を探す
- 行方不明者の代わりになってくれる不在者財産管理人を裁判所へ選任を申立てる
問題点②:相続財産のほとんどが不動産
相続財産のほとんどが不動産の場合、分割が困難になります。
これは、不動産を取得する人がほとんどの財産を取得することになり、平等な相続が実現できなくなるためです。
今回は、亡くなった奥様が自宅不動産を所有しており、どのように分割するのかが問題になりそうです。
問題点③:依頼者は、施設入所を希望
依頼者のAさんは、不動産の売却代金で、老人ホームなどに入ることを希望しています。
しかし、不動産はAさんのものではなく、亡くなられた奥様のものです。
よって、遺産分割により、自宅を誰が相続するのか、相続人全員で話し合う必要があります。
問題点へのリーフ司法書士事務所の対応
こちらでは、それぞれの問題について、当事務所での対応策を説明します。
- 問題点①:相続人が行方不明
- 問題点②:相続財産のほとんどが不動産
- 問題点③:依頼者は、施設入所を希望
問題点①の対応:相続人の捜索
相続人が行方不明の場合の対応方法は次のとおりです。
- 戸籍や住民票による住所調査
- 依頼者の手元にある手がかりからの捜索
- 不在者財産管理人の選任申立て
今回の事例の場合
今回の事例では、行方不明の長男の住所は、実家のままでした。そのため、戸籍や住民票による調査では効果がありませんでした。
次に、亡くなられた奥様宛に届いていたお手紙に記載されていた住所を尋ね、相続人の調査を行うことにしました。
調査結果から相続人が見つけられない場合は、裁判手続をとる必要があります。
問題点②③の対応:不動産を売却した上で分ける換価分割による対応
相続財産のほとんどが不動産だと、どうしても相続分に偏りがでてしまいます。
相続人全員の同意があれば、不動産の売却代金の全額をお父様が受け取ることができます。
しかし、同意が取れない場合は、売却代金の一部しか受け取ることができません。
対応後の状況
① 相続人見つかる
行方不明であった相続人の手紙の住所を尋ねたところ、そこからは引っ越していましたが、周辺調査の結果、見つけることができました。
② 相続人全員での遺産分割協議
見つかった長男を含め相続人全員で遺産分割協議を行いました。
長男、二男共に、父であるAさんの今後の生活費として、不動産の売却代金をお父様が取得することに同意してもらえました。
その後、不動産は無事売却され、Aさんも安心して手続を終えることができました。
まとめ
相続人に行方不明者がいる場合、簡単な相続手続でもとても複雑になります。
よって、将来、相続が起きたときに、問題が生じる可能性があるときは、遺言書などの相続対策を行うことをおすすめします。
当事務所は、相続手続・相続対策に特化した事務所です。
初回の相談料は、頂いておりませんので、いつでもお問い合わせください。