受託者が信託事務の一環で借入をしたときも責任を負う?

家族信託契約は、受託者が委託者の財産を託され、受託者が契約の目的に従って管理・処分するものです。受託者は、人の財産を管理するわけですから、当然責任を負います。

ここでは、受託者が信託事務の一環として金銭を借りたときの責任について解説していきます。

受託者は信託契約後、委託者から託された財産の管理と処分を行います。

この財産の管理や処分は、信託契約に従って行う事務であることから、信託事務といいます。

受託者がこの信託事務により、債務を負担することになった場合、誰が責任を負うのでしょうか？

信託財産とは、委託者から託された財産です。受託者の固有財産とは、受託者自身がもっている不動産や預貯金です。

信託事務を行う上で金銭を借りた場合、信託財産と受託者の固有財産が負担を負うことになります。

Ａさん（委託者）とBさんは信託契約をしました。ざっくりとした契約内容は次のとおりです。

受託者であるＢさんがお金を借りるとします。Ｂさんは、信託の業務としてお金を借りた場合、Bさん個人の財産でも責任を負ってしまうのです。

受託者Bさんがお金を借りたとき、借入の目的によって責任の対象となる財産は、次のとおりとなります。

Bさんが、信託事務の借入額をＢさんのお金で返済したとき、後日、信託財産からその支払った額をもらうことができます。

受託者が債務の支払いをしたときに、信託財産から支払った額を受け取れないときは、自らの固有財産をもって責任を負うことになります。

つまり、受託者が自身の財産で支払った場合に、信託財産にお金などがないと、受託者は自分でその負担を負うことになります。

まとめると次のとおりです。

信託事務として借入れた債務を、受託者が個人の財産で支払った場合は、次のとおりです。

受託者は、委託者が信託した財産の所有権を取得します。所有権があるため、様々な権限があります。しかし、責任も重いのです。

受託者として家族信託契約をする場合は、受託者の責任をしっかりと理解する必要があります。