【家賃と相続】賃料の相続に遺産分割は必要?登戸の司法書士が解説
亡くなった方が賃貸マンションなどを所有していたとき、賃貸マンションの相続手続が必要です。
では、亡くなった賃料は誰が相続するのでしょうか?話し合い(遺産分割)で分け方を決めるのでしょうか?こちらでは、次の内容について解説します。
- 賃料債権に遺産分割は必要?
- 賃料債権を遺産分割の対象に入れることもできる
- 相続財産である不動産を勝手に貸したら?
- 【他の債権】誰かに貸したお金の相続どうなるの?
1.賃料債権に遺産分割は必要?
結論からいうと、不要です!
相続財産にはそのまま相続するものがあれば、遺産分割が必要となる財産もあります。
亡くなられた不動産から発生する賃料は、分割単独債権となります。
つまり、亡くなった時からの賃料は、相続分に応じて取得します。
家賃の相続に関する判例を確認
「相続開始時から遺産分割までの間、遺産は共同相続人の共有に属するところ、この間に遺産である賃貸不動産を使用収益した結果として生じる賃料債権は、各共同相続人がその相続分に応じて分割単独債権として確定的に取得する(最判平17・9・8民集59-7-1931)。」
賃料債権は確定的に各相続人のものに!
相続財産について、遺産分割が行われると、原則として相続開始の時にさかのぼって、効力が生じます。しかし、この賃料債権については、遺産分割の影響を受けないのです。
2.賃料債権を遺産分割の対象に入れることもできる
相続人全員の合意があれば、貸金債権を遺産分割の対象財産の中に取り込んで分割の対象とすることは差し支えないと考えられます(参考「福岡高決平8・8・20判タ939-226」)。相続人全員で賃料を含めて分ける話し合いをしたいと考えているなら、相続人の意思を尊重すべきという考えです。
3.相続財産である不動産を勝手に貸したら?
亡くなった時から遺産分割成立までの間の賃料は相続人の法定相続分に応じて帰属します。
そのため、勝手に賃貸した人に対して、法定相続分に従い、賃料の相続分相当額を請求することができます。
4.【他の債権】誰かに貸したお金の相続どうなるの?
貸金債権は相続開始と同時に相続分に応じて分割!
亡くなった方がお金を誰かに貸していた場合、その貸付金は相続開始と同時に、相続人に分割されます。つまり、遺産分割をすることなく、相続されます。
なお、遺産分割に加えることを相続人全員が同意している場合は、遺産分割の対象に加えることも可能と考えられます。
預貯金や現金は?
預貯金や現金は、遺産分割の手続によって、誰のものになるのかを決定します。
預貯金は金融機関に対する債権です。しかし、預貯金は、性質的に確実かつ簡易に換価することができる点で現金と差がなく、他の貸金債権に比べて不確定要素が少ないため、現金と同じ扱いとされています。