障害を抱えたお子さんがいる方のための相続に備えた遺言書

障害と一口にいっても、身体的部分に障害のある「身体障害」、年齢相応の力が十分に身につくことがない「知的障害」、統合失調症などの精神疾患に能力的な障害のある「精神障害」など、様々なものがあります。

今回はこういった障害を抱えたお子さんを家族で面倒を見ていくことを希望している場合に、遺言書をおすすめしたい理由を説明していきます。

事例を通して見ていきましょう!

Aさん一家には障害を抱えたお子さんであるCさんがいます。この場合に相続対策として遺言書は必要なのでしょうか。

Aさんは、奥様のBさんと長男のCさんと長女のDさん、二男のEさんの5人家族でした。長男のCさんは重度の自閉症である知的障害を抱えています。

Aさん一家は、家族間でとても仲が良く、Aさんや奥さんのBさんが亡くなった後は、長女のDさんと二男のEさんが協力して、長男のCさんのサポートをしてもらいたいとAさんは考えていました。

その後Aさんが亡くなった後の相続手続

Cさんにつき成年後見人を申し立てる必要が出てくる

相続が発生すると、預貯金や不動産などの相続手続を行う必要があります。そのためには、遺言書がない限り、相続人間でどのように分割するのかを決める遺産分割を行う必要があるのです。

Aさんが亡くなった場合も同じです。相続人全員でAさんの遺産をどのように分割するのか決める必要があります。しかし、長男のCさんは重度の認知症であることから遺産分割の協議をすることができません。

そのため、Cさんのために成年後見を申し立てることになり、成年後見人には専門家が就任することになるのです。そして、専門家が就任するということは当然報酬を支払う必要があるため費用が発生します。さらに、一度後見人が就くと、原則としてCさんが亡くなるまで後見人の費用が発生してしまいます。

後見人の選任により当然ランニングコストが発生します。

遺言書があった場合はどのようになるのでしょうか?

後見人を選任する必要がなくなります

Aさんが遺言書により財産の帰属先を指定しておけば、遺産分割協議などを行わなくても、財産を帰属させることができます。これにより、Cさんには後見人をつける必要がなくなるのです。

遺言書の内容

どのような遺言書の内容にするのが良いのでしょうか?

Aさんとしては、Cさんがずっと安心して暮らせるように財産を残したいと考えるかと思います。しかし、財産をCさんに残したからといって財産をCさんが使えるわけではありません。そのため、財産をAさんの配偶者のBさんに残すことで、Cさんの生活のために使えるようにすることができるのです。

Cさんのために財産を使う方法として様々な方法があります。その一つとして家族信託という方法があります。家族信託を使った具体的な解決事例については、障害を抱えた子のための信託を用いた相続対策をご参照ください。

遺言書だけでなく、家族信託も大切ですね。

障害を抱えた子とその家族のための相続対策

以上のように、遺言書を残しておくことで後見人が就くことを避けることができます。後見人への報酬の相場は月額1万円から3万円ほどと言われています。子供のことや家族のことを考え、ご自身に何かが起こる前に専門に相談することをおすすめ致します。

なお、ご自身に何かがあった後に誰が障害を抱えた子の面倒を見るのか?という問題があります。これを親亡き後問題といいます。

親亡き後問題

障害を抱えている子を親が世話している場合に、親が先に亡くなった後、または親が面倒を見れなくなった後に、誰がその子の面倒を見るのでしょうか?

こうした親亡き後の問題には、遺言書だけでなく、家族信託や任意後見など様々な方法でアプローチする必要があります。ご家庭の状況はご家庭ごとで異なります。そのため、解決策もご家庭ごとで異なるのです。

リーフ司法書士事務所は相続対策を専門としております。様々な方法でご家庭が抱えている問題にアプローチし、検討した上で、そのご家庭にとって一番適切な方法をご提案致します。親亡き後問題でお悩みの方は是非一度お問い合わせください。

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