【家族信託】障害をもつ子の親亡き後問題の相続対策|川崎市多摩区の司法書士が解説

障害をもつ子どもがいるご家族だと、ご自身が亡くなった後大丈夫なのか?という漠然とした不安をもつ方がいます。

こちらでは、親が亡くなった後(親亡き後)の問題に対して、家族信託を使った解決事例をご紹介します。

家族信託を使った親亡き後問題の対策

家族信託は、相続対策や認知症対策によく使われます。家族信託について詳しく知りたい方は、【相続・認知症対策に使える!】家族信託って何?を確認ください。

こちらでは家族信託を使って解決した具体的事例を紹介していきます。

状況

相談者であるAさんは、寝たきりの奥さんと障害をもつ娘の三人家族です。奥さんは、病院にずっと入院しており、娘さんは施設に入っています。

Aさんの家族は、病院で寝たきりの奥さんと障害をもつ娘さんの三人です。

自身に何かあったときの漠然とした不安

Aさんの収入は年金と賃貸不動産からの賃料収入があり、金銭的な心配はないです。

しかし、最近もの忘れが目立つようになり、自身が倒れた後に誰が財産をみてくれるのか、不安を感じていました。

Aさんの財産は、マンションと預貯金です。

頼れる親族に最後は財産を渡したい

Aさんの家族は病院で寝たきりの奥さんと障害をもつ娘さんです。

いつも何かと頼っていたのは、近くに住む甥でした。「いざという時は、甥に家族のために財産を使ってもらえるようにしておきたい」とAさんは考えています。

いざという時は、近くに住む親族に頼ってます。

もしも放置したら、どうなるの?

何も対策をしないとどうなるのでしょうか?次のリスクがあります。

  • 後見人の選任により、ランニングコストがかかるリスク
  • 財産が国に帰属するリスク
成年後見や財産が国に帰属してしまうのは避けたい。

後見人の選任により、ランニングコストがかかるリスク

Aさんが亡くなると、基本的に相続手続をしないと、娘さんも奥さんも財産を使うことはできません。相続手続では、遺産分割協議が必要です。

遺産分割協議をするには判断能力が必要です。よって、奥さんと娘さんそれぞれに後見人をたてる必要があります。そして、それぞれの後見人の報酬は、亡くなるまで発生します。

財産が国に帰属するリスク

Aさんが亡くなると、財産は奥さんや娘にいきます。また、奥さんが亡くなると、奥さんの財産は娘にいきます。

娘が亡くなると財産は、どこにいくのでしょうか?財産は、基本的に、にいくことになるのです。

面倒をみてくれた甥にちゃんと渡したいなら、対策が必要です。

リーフ司法書士事務所の相続対策の提案

Aさんの事例で相続対策としての提案は次の2つです。

  • 家族信託
  • 遺言書の作成

それぞれ解説していきます。

妻や障害をもつ娘のための家族信託

賃貸マンションを信託することで、名義はAさんから甥に移ります。

しかし、甥は受益者であるAさんのためにしかマンションを使えません。

また、Aさんが亡くなった後は、マンションはAさんの奥さんのために使われ、奥さんが亡き後は、娘のために使われます。

家族信託により家族のために財産を使ってもらうことができる。

信託された財産が横領されるか少しだけ不安、、、

甥が信託された財産をAさんのために使っているか監督する人は、Aさん自身です。また、Aさんが亡き後は利益をうける奥さんや娘が、甥を監督することになります。

しかし、監督ができるのか不安を感じていたので、信託監督人をおくことにしました。

信託監督人

信託監督人は、財産がきちんとAさんのために使われているか監督する人です。

今回は、Aさんが、マンションの収益を申告するときにお願いしていた税理士に信託監督人をお願いすることにしました。

信託の終了

Aさんの家族全員が亡くなったときに、信託は終了することになります。

信託が終了した後に残った財産は、信託の業務を行ってくれた甥に渡すことにしました。

遺言書の作成

Aさんが遺言書を作ることで、Aさんの財産が国に行くことを防ぐことができます。

さらに、遺言書を作ることで、Aさんが亡くなった後の奥さんと娘さんの遺産分割協議を避けることができます。

遺産分割協議を避けるための遺言書については、詳しくは障害のあるお子さんがいる方の遺言書で確認ください。

遺言書の内容

遺言書の内容は、Aさんが亡くなった後は、全ての財産は現金化して信託に加える内容になっています。信託に加わることで、甥がAさんの家族のためにお金を使えるのです。

まとめ

今回は、障害をもつ子がいる方の相続対策について解説しました。

ご家族の家族関係や収支状況などの状況により、必要な対策が変わります。

Aさんの場合も、提案前にAさんだけでなく奥さんや娘さんの収支状況などをしっかりと確認しました。信託監督人や甥への報酬に、Aさんの資産が耐えられるのかを計算し、提案にいたりました。

家族信託を行うときは、収支や財産状況をしっかりと確認する必要があります。家族信託をご検討中の方は、家族信託の知識のある専門家にご相談することをおすすめいたします。

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