委託者の権利|家族信託

委託者

家族信託において、信託の対象となる財産を支出する人を委託者といいます。委託者は信託設定の場面では大きな役割を果たします。しかし、信託設定後はどのような役割を果たすのでしょうか?

家族信託が成立した後は、信託した財産の所有権は受託者へと移転します。そして、受託者は受益者のためにその財産を管理・処分することになります。

今回の記事では、信託が成立した後の委託者の権利について解説しております。

委託者が有する権利

委託者は信託の設定を行う人です。委託者が自身の有する財産を受託者に移して、管理・処分などをさせていることから、委託者は信託の設定後も様々な支持を出すことができます。しかし、委託者が全ての指示をできるのであれば、受託者に預けた意味が無くなってしまします。また、受益者としても、受ける利益の内容がコロコロ変わってしまっては予測できない不利益を受けてしまいます。

よって、委託者の権利は、設定者としての性質から大きく次の4つに分けることができます。

  • 信託状況の報告を請求する権利
  • 信託に関わる人の選解任や辞任の承認をする権利
  • 信託の基礎に関する権利
  • その他の権利

信託状況の報告を請求する権利

委託者は、家族信託を設定した当事者であり、財産を拠出した人です。

そのため、信託の運用がちゃんとなされているかを監視・監督する権利があり、信託の状況の報告を求めることができるのです。

信託に関わる人の選任や辞任の承認をする権利

委託者は、信託の設定者であるため、信託の運営を組成する当事者の就任や辞任の承認をする権利があります。

例えば、委託者は受益者との合意により、受託者を解任することができます。また、受託者が辞任する場合には、原則として委託者の同意が必要になります。

信託の基礎に関する権利

委託者は信託の設定者であることから、信託の基礎に変更を加える権利を有しています。信託の設定をした後の当事者は基本的には、受託者と受益者です。しかし、信託の目的の変更などの、信託の基礎に関わる箇所を変更するには委託者との合意が必要になります。

なお、信託の変更が信託の目的に反しない範囲であれば、受託者と受益者で変更することができます。

その他の権利

委託者には、これまで説明した権利以外にも信託契約の定め方次第で様々な権利を与えることができます。例えば、事業承継などで信託が使われた場合の「指図権」というものがあります。

まとめ

今回は、信託の設計者である委託者の権利について解説しました。委託者には信託契約の定め方次第では大きな権利を与えることができます。

そして、委託者の地位は相続により相続人へ承継されてしまいます。

そのため、信託にあまり良い印象をもっていない相続人が委託者になると、信託契約の定め方次第でせっかく契約した家族信託が機能しなくなる可能性もあるのです。

よって、家族信託を行う場合には、しっかりとした家族信託の知識のある専門家へ依頼することをお勧めします。

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