親の施設入所に伴う空き家リスクと家族信託

現在、日本では、少子高齢化や人口の減少に伴って、土地や建物への利用需要が低下しています。

また、人口が都市に集中していることから、地方の土地や建物を所有しているという意識が希薄化し、相続が発生しても相続登記を行わず、誰が所有者なのかわからない土地「所有者不明土地」や「空き家」が全国的に増加しています。

日本の空き家状況

日本の空き家は年々増加しており、平成31年4月26日に発表された「平成30年住宅土地・統計調査(概数集計)」によると全国の空き家の占める割合は13.55%になるとのことです。

平成25年の調査に比べて空き家は増加していますが、増加率は各自治体の取り組みの成果から減退していることがわかります。しかし、日本の少子高齢化や人口減少を考えると空き家問題に対し、楽観的にはなれないのが現状です。

空き家の問題は、他人事ではありません

空き家問題は思いの外身近な問題です。というのも空き家の原因は主に次の2種類です。

① 自宅に住んでいた祖父母や両親が施設への入所により空き家になる場合

「自宅に両親や祖父母が住んでいたが、加齢により施設へ入所せざるを得なくなった、、」

ご両親とお子さんが別々に住んでいる場合、こういったことは当たり前に発生します。私自身が新潟から上京してきているため、とても身近な問題に感じています。

② 親が亡くなり実家を相続したが放置、または放置せざるをえなかった場合

自宅に住んでいた親が亡くなった場合、そのまま自宅を放置していた場合は空き家になりますが、問題は放置せざるを得なかった場合です。

例えば、相続人間で揉め事に発展した場合です。相続人間で不動産の処分や帰属先に争いがある場合は、放置されてしまう傾向にあります。

空き家リスク

空き家になるとどのような問題があるのでしょうか?

空き家を放置した場合様々なデメリットがあります。主なデメリットは以下のとおりです。

空き家のデメリット

近隣トラブルや犯罪の温床になる人が居住していないことから、不動産や雑草の管理がされず、害虫などの近隣トラブルや犯罪の温床になる可能性があります。
損害賠償責任をされる可能性空き家を放置により、躯体部分が腐ったことで倒壊し、通行人に被害が生じた場合、所有者として損害賠償責任を問われる可能性があります。
固定資産税が6倍に空き家が「特定空き家」に指定された場合、固定資産税の軽減措置の対象からはずれることになります。

空き家への備え

空き家の原因の多くは、親の施設の入所と相続の発生です。つまり、相続・認知症対策と切り離せないのです。こういった対策に家族信託はとても有用な手段です。

家族信託の利点

家族信託は、信頼できる受託者へ財産を預け、管理処分してもらう制度です。

空き家問題の場合、不動産の所有者が不動産を信頼できる親族などに預けることで、不動産の所有者が施設に入所したり認知症になった場合でも、不動産を預かった人が不動産を処分したり賃貸として運用することができるのです。そして、これにより得られた利益は、不動産を預けた人(委託者)へ帰属させることができます。

なお、家族信託の仕組みについて詳しくは、家族信託の仕組みをご確認ください。

まとめ

空き家問題は、相続対策や認知症対策に大きく関係しています。自身の親が遠方で一人で暮らしている場合、空き家問題の対策をする必要があります。

認知症などになった後では、こういった対策はすることができず、空き家になる可能性が高くなります。

ご両親が元気なうちに、対策をすることをおすすめします。

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